やってくるチャンスに乗り「できること」を自然体で:佐藤惠子さん

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流れにのり広がるキャリア

ー少し話が戻るんですが「宮城県青年の船」で北京に行かれてからは、どうされたんですか?
佐藤:北京に行ったことがきっかけで事後団体の「青年の船友の会」の事務局に誘われたんです。青少年教育をやってる団体で、小中学校でリーダー養成をして、そのジュニアリーダーを集めて更にトレーニングするっていうような。

ー今もあるんですか?
佐藤:もうなくなっちゃいました。一時期、流行ったんですよ。青年の船ブームみたいのがあって。

ーボーイスカウトみたいな感じですか?
佐藤:あの方たちも同じくくりで活動してましたね。最初は「青少年の翼」の事業を担当していました。フィリピンの中高生たちを20名くらい日本につれてきて宮城県各地にホームステイさせたり、逆に、宮城県の中学生、高校生も80人くらいフィリピンにつれていってホームステイさせたりしてたんですね。相互交流事業ですね。

というのも、周りの人は、サラリーマンばかりだったので、私くらいしか自由に時間が使える人がいなかったんです。その点、私は気楽にいけますから。仕事場(タバコ屋)もたまたまミーティングする場所と近かったので、ちょうどよかったんです。親には、2年間その仕事をさせてくれって頼んでました。

ーそれは、完全にボランティアだったんですよね?
佐藤:そうです。完全にボランティアでしたね。

ーそこで佐藤さんの中に、人材育成との関わりがでてきたんですね
佐藤:宮城県が主催している「少年の船」の説明会も、県内10箇所を歩くわけですよ。そのおかげで、県内中に知り合いだらけになりました(笑)。

ーそれを2年間やられて、その後はどうされたんですか?ー
佐藤:その後は、約束を守ってやめました。でも、青年の船友の会の特別事業があったら、手伝ったりしてました。その時に、国の派遣事業に行ってみたら?っていう声をかけていただきまして、青少年国民会議の事業に行きました。そこで、静岡で1週間フィールドワークをやって、その後、2週間フランスにいって研修をうけるっていうのに参加したんですね。

青少年国民会議事業
かつて存在した内閣府政策統括官が所管する公益法人の事。
wikipedia

その時、参加者が14人いたんですけど、内2人だけが青少年関係者で、残りの人は福祉関係の方だったんです。そこで、福祉の事をかなり勉強させてもらいましたね。全国社会福祉協議会の人もいたし、県社協の人もいたし、個人でボランティアでされている方もいたしで、かなり詳細に福祉の仕組みについて、教えてもらいました。

ー今に続く福祉の流れがでてくるんですね。機会ごとにキャリアが積み上がっていっているような感じがしますー
佐藤:その事務所が面白かったのが、3,4年生はポニーキャンプ、5,6年生は少年の船で、中・高校生は青少年の翼っていう、それぞれの学年がリーダーになっていくっていう仕組みだったんですね。そういう循環のある仕組みがあって勉強になりました。

でも、やってる時は、胃が痛くなったりしてました…。それこそ、少年の船事業の総務の担当だったんですけど、円形脱毛症とかになりましたね。この船沈んだらどうするんだ…みたいな。責任をすごく感じてましたね。

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ーそうですよね。大人数のお子さん預かるって神経使いますよね…。
佐藤:カリキュラムをつくる時にも、泣きながら胃薬飲みながら、やってましたね(笑)。

ーかなりお忙しい日々だったんですね。
佐藤:忙しいっていうか、経験の無いことだったっていう面が大きかったかもしれないです。ただ、やったこともないのにフィリピンの大学と交渉する時に「その提案にはどういった教育的効果があるんですか?」とか強気に言ったりしてましたね(笑)。どうしてかっていうと、私達、県の教育委員会に社会教育課と指導部に説明できないといけなかったので、わからないところは明らかにしておかなきゃいけなかったんです。そこは、結構苦労しました。

ー語学的には問題なかったんですか?
佐藤:英語はできなかったので、いつも通訳さんを通してました。面白かったのは、ある時、通訳さんが「できない!」ってサジを投げちゃったんですね。しかたないから、私が「わかりました!私がやります!」って交代したら、逆に相手がすごく簡単な英語で喋ってくれたりして(笑)。

ーでも、そこで、飛び出していける佐藤さんはすごいですね!
佐藤:でも、誰もいなかったんで、仕方ないですよね(笑)。

チャンスを掴んで、期待に答えられない自分を手放す

ー佐藤さんのお話を聴いていると、来るチャンスをどんどん掴んでいらっしゃるように感じますー
佐藤:そうなんです。私もミーティングの時に言ったことあります。「みなさんの周りにこんなにチャンスが降り注いているのに、どうしてみんな使わないんですか?皆さんに均等に降り注いでますよ」って。その時、みなさんは「は?」って感じでしたけど(笑)。

ーここまでのお話を聴くと、すごく伝わってきます。特別な事をされたっていうよりは、流れてくるチャンスに乗ったというか。そういう感じがしますよねー
佐藤:ほんと、それだけですよ。もともと、私は、「これやる!あれやる!」っていうタイプではなかったので、なんか来たものを受け取ってきたって感じなんですよね。

でも、昔の私と今の私で、違うところが一つありますね。
期待されてやった時に、できないこともあるじゃないですか。で、その時、がっかりされるじゃないですか。昔はその度に「できない私が悪いんだ…」って胃が痛んですけど、今はそんな事はないですね。

最近は、そんな時「あんたに見る目がなかったね」って思えるようになったんですよね。「残念でした!へへー」みたいな(笑)。前は、その人に合わせなきゃっていう意識が強すぎて胃が痛くて仕方なかったんですけど、「残念でした!」って思えるようになってから、全くそういう部分がなくなりましたね。

ーへー、それは、大事なことですよね。やっぱり、どっかで人に合わせようとか、その人の期待に答えようとか。やっぱり思っちゃいますもんね。
佐藤:昔は、本当によく言われてました。「がっかりした」とか、「思ったような人じゃないのね」とか。前は、その度にすごく落ち込んでましたね。でも、今は全くなくなりましたね。完全に上から目線みたいですけど(笑)。

ーでも、それで対等な関係じゃないですか?期待ってある意味、相手との関係が対等じゃなくなりますよね。
佐藤:そうそう、すごく楽になりましたね。それまでは、結構弱ってました。

ーかなり長年の悩みだったんですね。
佐藤:4つとか7つとか上の姉がいたので、子どもの頃から、いつも背伸びをしてたんですよね。

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