アーカイブ:渡辺 由紀子さんインタビュー

アーカイブでは越智孝之が行ってきた過去のインタビュー集を掲載していきます。

リンクは、2015年4月にパーソナルコーチの渡部由紀子さんのインタビューをしたものです。

37年間病院での勤務を経験された後に、訪問看護への思いから、コーチングをはじめ、様々なセラピー技法を学んで、実践してこられた渡辺由紀子さん(通称:ゆっこさん)。その背景にある人と関わっていくことへの熱い思いや、根底にある思いについてインタビューしてみました。

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コーチングや心理療法との出会い

“私が求めているのは、病室じゃなくて暮らしの場所だから。”

–ゆっこさんは、今まで色々な手法を学んでこられたと思うんですけど、その最初のキッカケってなんだったんでしょうか?
ゆっこ:ずっと看護師として、現場で働いてきたんですけど、30代くらいから訪問看護の領域にすごく興味があって。そんな時に子供が嫁いで、やっと経済的にも余裕ができてきて、やっとやりたいことができるって訪問看護にいったの。でも、その時にもの凄く突っ走ってしまったのと、体にもの凄く負荷がかかったみたいで、ちょっと無理がでてきはじめてたの。最初は、コミュニケーションをやりたくていったのに、最後は「コミュニケーションがなってない」っていうことを言われてしまって。そのあと、リハビリ病院に異動させてくれたんだけど、自分の中の挫折感が凄く大きかったんです。ちょっと自殺を考えるくらい追い詰められて。夜勤の仮眠すると、うなされてました。でも、どこで失敗したのか自分で見極めないと死にきれない位の感じがあって、それでコーチングを学んでみたのね。

–学びはじめて、いかがでしたか?
ゆっこ:そんな風に自己探求欲のために学びはじめたからか、急速に吸収できた感じがしてました。例えば、私は「嫌いなもの、汚いもの」という意識で、ものを撥ねちゃう感覚あったりしたんですね。もちろん綺麗な物を求めている感覚もある程度、防衛機能として出るのは普通なんだけど、「気にいらない」という言葉の代わりに「汚い」って出ちゃう自分がいたんですね。でも、学んでいくうちに、自分のエゴに気づいていって、色々なことが整理できるようになってきたんです。そのうち臨床の現場でもその効果がでてきたのがあって、コーチングが凄く突貫力になっているんだろうなと感じてましたね。

–すごくいい変化がでてきたんですね。
ゆっこ:でも、それは病院という組織の中ではあまり評価されなかったんです。「要領がいいね」くらいな感じで。そこは残念でした。でも、ずっと訪問看護はやりたかった。つまり看護は嫌いではないけど、病院という組織が凄く苦手だったのね。病院で求められているのは治療医の下での対処だったから。そういう意味では在宅とは違う。私が求めているのは、病室じゃなくて暮らしの場所だから。だから、病院から離れて、もう少し自由にやりたいって思っていた部分だったんです。そんな時に、指導していただいた方から、「プロとして活動してみれば?」って勧めていただいて、活動を開始したっていう流れがありました。

サービスを届けたい人たち

“介護者が家庭内の問題、現実的な問題を抱えながら、自分らしく生きていくことのサポートっていうところにすごく惹かれています。”

–では、色々な経験をされてきて、今はどんなクライアントさんにセッションを提供していきたいですか?
ゆっこ:私自身、今も介護の現場にいることもあって、介護者が家庭内の問題、現実的な問題を抱えながら、自分らしく生きていくことのサポートっていうところにすごく惹かれています。あと、私の主婦として母としての視点でいうと、子供を育て上げたときの空しさとか、空虚感とか、自分のリソースをもう1回見直して、今まで子供に向けていた何かエネルギーを、別のものに向けていくような、そういうサポートもしていきたいと思っています。

–いままで、がんばってきたんだけど、ふと振り返るようなタイミングにきている方みたいな。
ゆっこ:そこまで頑張ってきたんだけど、今からどうしましょう、っていう人が、地に足ついてやっていけるようにサポートしたいっていう感じかもしれません。

自分の強み

“「自分をだしていい、受け止めてもらえる」っていう安心感”

–ゆっこさんのセッションの強みってどういうところだと思いますか?
ゆっこ:「自分をだしていい、受け止めてもらえる」っていう安心感について言っていただけたことがあります。もっと前の段階だと、安心って無制限に依存させかねないようなところがあるんじゃないかなって考えてきた時期もあったんですけどね。でも、この前、コーマワークに行ったら、クライアント役の人が寝ちゃって。もう1人の人は動けなくなって、起きられなくなって。どうも私はトランス状態に入りやすくしちゃうみたいで。その時に、指導者から「桁外れの安心感みたいなものを与えられるんだよね」って私に言ってもらえて、そこを認めれるようになってきたんです。

–それは凄い武器ですね。
ゆっこ:頑張りすぎちゃっている人とかにも効果的な関わりができると思います。仕事に追われてる人っていうのは、忙しいのに仕事でバリバリやってきたって思えてなかったりして。でもほんとは、仕事と家庭との中での、うまくやり繰りしていきたいとは思っているんですよね。

–では、ゆっこさんがセッションの時に大事にしていることってどんなことなんでしょうか?
ゆっこ:「その人が大切にしてること」を大事にするってこと。成果をあげようとすると、刺激を入れるじゃない。それに対して違和感を感じるクライアントは、タフでそれが新しいステップになる事もあるけど、時に傷つけてしまうこともあることに対する恐れは、きちんと持っておきたいなって思っています。言葉を変えれば「相手を大事にすること」なんだけど、ちょっとニュアンスが違う感じがする。どんなに正しくても、的確でも、傷つけないってことは、それに…、勝る感じ。

–他の言い方もできそうですね。
ゆっこ:防衛であっても守りたいものって人にあると思うんだよね。そこが防衛であることに気づいて崩して、先にいく方法もたしかにある。だけれども、手段っていうだけじゃなくて、その人が大事にしているところは大事にしたい、みたいな感じ。防衛を支援するっていうのは、大事にしたいですね。防衛してしまうときがあるってことをしっかり認めてあげて、初めて「良いものになるのかもね」っていう風になるから。「それは防衛だ」って言っちゃったら、身も蓋もないですよね。「自分を保ってきたんだよね、よく頑張ってきたよね」っていうベースがあって、初めてやりたいことに行きつけるだと思うんです。

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皆さんへのメッセージ

–では、最後にサイトを見ている皆さんにメッセージがありましたら、お願いいたします。
夢やビジョンも良いけど、人生は地味な現実の積み重ね。特に女性には子育てや介護などリアルな現実がまわってきがち。そんな中で、担うものは納得して担う。本当にnoを言う時は言う。自分の根底にある気持に気づいて納得できる人生をおくりませんか?人生に勝ち負けがあるとしたら、表に見える成果ではなくこの納得感の有無のような気がします。

–ありがとうございました!!

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