支援者にとって大事な5つの観点について

今日は、改めて、私が支援をしているときに大事にしていることを書いてみようかなと思います。

私自身も、完璧にできているわけではないのですが、折に触れて思い出す大事な観点です。

コーチングと一口にいってもいろいろとあるかと思いますが、これは比較的多くの支援に通じる考え方なのではないかなと思います。

1,観察すること

すべての支援は、観察から始まるのではないかと思います。
多くの人には、なかなかピンときにくい表現らしいのですが、すごく大事なところだなと。

ピアジェも言う通り、人は自分自身の シェマ に当てはめて物事を認知しています。それを環境に適応しながら拡大していく。これが認知の発達のプロセスであるという見方なわけですが、シェマというのは便利な半面ともすれば判断の癖にも繋がり、少ない情報量で決めつけてしまうような状況にもなりうるわけです。

ところが、他人という存在は、言葉の内容だけでは語れない上に、相対している人にはわかりえない歴史や文脈を持っているものです。それを少ない情報で直感の名のもとに判断してしまうのは、少し誤りにもつながりやすいのだと考えます。(直感は思いの外、偏りやすいという話でもあります。そこについてはまた今度)

ですが、その相手の歴史や文脈は、話をしている最中に想像以上にあらわれているのです。

「聴く」という漢字には、耳と目と心が入っています。
つまり耳だけで「聞く」のでは、ほんとのところは見えてきにくいのです。

リアルタイムで反応をみながら、なるだけ多くの反応を感知できるか。
ここが重要な視点のように感じます。

NLPをはじめ、コーチングにも多大な影響を与え、魔術師とさえ言われた精神科医 ミルトン・エリクソン も「観察できることの範囲を超えてはいけない」というような言葉(正確な言葉ではないかも)を残しています。あれだけウルトラCの魔法のようなことをしている人も、観察から判断したことしか行っていなかったという事実は、私にとっては非常に教訓的な言葉です。

また、アメリカ心理学の父とされるウィリアム・ジェームズも1890年の昔にこのようなことを言っています。

他人との交際においてまず第一に心得ておくべきことは何かといえば、他人がそれぞれ独特なるやり方でもって幸福な生活を築こうとしているのに対して、そのやり方が我々自身のやり方に暴力をもって干渉してくるようなものでない限りは、何ら干渉を加えない、ということであります。どんな人だって、ありとあらゆる理想が皆分かる、ということはありません。いかなる人も、すべての理想に対して軽々に即断を下すようなことをあえてしてはならぬのです。

W・ジェイムズ著作集 1 心理学についてー教師と学生に語るー 日本教文社; デジタル・オンデマンド版 (2014/8/1) p266

「今の瞬間には思っている以上に、多くの情報が溢れているのだ、たやすく決めつけてしまう前にリアルな今を見よ」といつも何度でも思い出します。

2,反射的に反応しないこと

2つ目は、反応しないことです。
これは、このブックレビューで書いたとおりのことでもあります。

読書レビュー1:反応しない練習

2018.05.09

実のところ、一番邪魔をしてしまうのは支援者自身ということはよくあることです。
「なんとかしなければならない」「うまくいかせなければ」という気持ちから、相談に来た人の機会を奪ってしまう。

結果、気づきを妨げるだけではなく、相談者を孤立させてしまう状況にもなりえます。

3,反応しそうな自分への影響に気づいていること

3つ目も、2つ目と関連はするのですが、広く言えば、フロイトのいう「逆転移」というものに近いといえます。

逆転移とは、セラピストがクライエントに対して抱いてしまうある種の感情のことをいいます。多くの場合は、親や配偶者など身近な人と感じている気持ちの投影のような感情です。「なんかガミガミ言いたくなる気持ちがでてくる」とか「恋人のような気がしてくる」などなど。

2つ目では、自分自身が持っている過去や状況に対しての反応という意味合いに近かったですが、こちらは「相手から受け取っているかもしれない感情」という考え方です。2つ目と3つ目は、区別はつけにくい部分はありますが、観点として非常に重要です。

コミュニケーションというのは、一方通行ではありえないものです。宿命のように必ず双方の情報のやり取りで行われるわけですが、そこにはメタ的なコミュニケーションも含まれてきます。メタとは上位という考え方で、会話のさらに一段上の抽象的な部分で流れている文脈のことです。

例えば、ゲームをしているときは、ルールに従いつつも「これはゲームである」という文脈が根底に流れているからこそ成り立っているわけです。

これは、動物や赤ん坊ですら使っている無意識に近いコミュニケーションの特徴なのです。

日常においても、人がそれぞれの生活の中で、持っているメタ的な雰囲気が相手に伝搬するということがあるのは実感があります。簡単に言えば、「相手にそのように感じさせてしまう or してしまう」特性というか。 心の世代間伝達 という心理学的な考え方もある通り、この個人が受け継いでしまうもの含めたメタ的な文脈は、考慮にいれるべきなのだと考えます。

自分自身のものと判別が難しいため、「これは、逆転移に違いない!」と断定しすぎるのは危険ではあるのですが、観点として持てるかどうかが非常に重要になってきます。フロイトの昔は、逆転移はよくないことと言われましたが、コフート以後、逆転移は活用していくというのが、時代の主流とも言えます。これはこれで、大事なリソースなのです。

4,支援者自身も救われていること

先程も言った通り、コミュニケーションというのは、一方通行ではありえないものです。

これはすなわち、ある意味で対等であるということでもあります。
「救う」⇔「救われる」の関係であった場合、それは会社のピラミッドのような従属関係に近いことにもなります。

ところが、コミュニケーションの対等性を考えた場合、支援者自身も救われてなければ、本当に効果のあるものであったとは言い難いような気がしています。ここについては、まだうまく語れないのですが、今までの項目と同様に重要性のある観点に位置づけています。

感覚的実感として、支援が「救う」⇔「救う」の関係になったとき、気づきはより加速され、双方にとっての幸せシステムになるといえるのだと思います。 ナラティブ・セラピー がたどり着いた「無知の姿勢」に通じるものだと思います。

5,諦めないこと

最後は、「諦めないこと」です。
私自身も、もともと諦めやすい性格なため、よく折れてしまっていたのですが、最近ひしひしとその重要性を感じます。
※私自身の反省からの学びでもあります。

コーチングのような支援では、ときに一般社会では聞かないような質問をすることが多々あります。
なので、当然答えの一番多いものは、「ちょっとわからないです」だったりするわけです。

あまりに意味がわからない無茶なものは、答えられなくて当然なのですが、意図をもって質問しているのであれば、ここで諦めてはいけなかったりします。相手の反応を見ながら、しつこくもう一言きいていくと、ぽろりと大事なことがでてくることが多いのです。

しつこくなりすぎずにしつこく(笑)、というのが大事かなと思うところです。

まとめ

という感じで、私が行ってきた支援で大事な観点についてまとめてみました。
けっこうわかりにくいとは思うのですが、行き着くところは、このへんだなーと感じる次第です。


Photo by Joanna Kosinska on Unsplash

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