巷ではよく“聞き上手”という言葉を使いますが、より広い意味で話をきけるという意味では“聴き上手”のほうが表現として適切かもしれません。
そもそも、この言葉の違いはなんでしょうか?
そこについて解説してみます。
聞くの意味
聞くというのは、耳だけで聞こえてくる情報を取り入れるニュアンスになります。
英語でいえばhearが該当します。
“聞く”という漢字を分解してみると
漢字のつくりからも意味を理解していきます。
「聞」という漢字には、門構えに耳がはいっています。
つまり門の中に入ってくるもしくは門のところにいながら耳をつかって、音を聞き取るようなイメージです。
そのため、意識はしていなかったが遠くからきこえてきた、もしくは、訪ねて行って耳をそばだてるようなニュアンスが近いかもしれません。
聞くの例
「何やら音が聞こえてきた」
「遠くで音楽が聞こえてきた」
「言い伝えを聞いたことがある」
聴くの意味
一方で、聴くという漢字は、聞くよりも積極的に情報を受け取りに行くニュアンスが入ってきます。
英語で言えば、listenになるでしょう。
傾聴のことをactive listeningと表現することもあります。
聴くをより積極的にしたものが傾聴であると、そう言えるようです。
”聴く”という漢字を分解してみると
聴くの中には、「耳」「十」「四」「心」の漢字が入っています。
また、人によっては、「耳」「十」「目」「心」という解釈をする人もいらっしゃいます。
つまりは、耳だけではなく、心や他の部分を使って、全身で相手が発している情報を取り込もうとする行為が「聴く」となるわけです。聞くは、耳が相手の正面を向いているイメージでしたが、聴くは正面きって受け取ろうとしている様子がイメージできます。
参考:聴くは14の心
出典は少し不明なのですが、様々な方が、下記のような解釈をつくったりしているようです。
ここには正しさはないのですが、より広く多くの心で聴いてみる。
その心意気がなによりも大事なのだと思います。
- 『美しい』心で聴く
- 『新しい』心で聴く
- 『広い』心で聴く
- 『楽しい』心で聴く(きいて、たのしくなる)
- 『嬉しい』心で聴く(きいて、うれしくなる)
- 『面白い』心で聴く(きいて、おもしろさがわかる)
- 『微笑み』の心で聴く(きいて、ほほえましくなる)
- 『素晴らしい』心で聴く(きいて、すばらしさがわかる)
- 『悲しい』心を聴く(悲しみを共感する心で聴く)
- 『苦しい』心を聴く(苦しみを共感する心で聴く)
- 『愛しい』心で聴く
- 『労わる』心で聴く
- 『憂う』心で聴く
- 『感謝する』心で聴く
まとめ
一口に「きく」と言っても全く別のニュアンスが存在しています。
ただ、人の話を受け止めてあげるときは、聴くの漢字にあったように、いろいろな感覚をつかって受け止めてあげてこそ、相手が「ああ、話を聞いてもらえた!」という感覚になるのです。
人間も生き物ですからね。
内容だけでは、満足はできません。