自然で違和感のない「オウム返し」をするために考えたいこと

傾聴のテクニックの一つに、オウム返しというのがあります。

簡単にいえば、相手の言ったことを繰り返す傾聴のテクニックのことです。
例えば
「今日は寒かったよー」
「今日は寒かったんですね」

これにより、共感度合いが高まり、相手は話しやすくなるはず…。
なのですが、実はけっこう難しいです。

単純に繰り返すと、イラッとされます。
良かれと思ってやってるので悪気はないのですが、話が聴いてもらってと思うどころかマイナス印象を与えてしまいます。

今日はこのポイントについて書いてみたいと思います。

オウム返しの背景にある意図

オウム返しは、ミラーリング(相手をまねること)することで親近感を得て、信頼構築しやすくすることであり「言葉を受け取っている!」という共感なわけです。

ところが、ただ繰り返すだけになると、信頼どころか内容と分離した機械的な印象を受けてしまう可能性があります。ひょっとすると「オウム」という言葉が悪いのかもしれません。

つまり、本当のオウム返しは自分の気持ちが伴った言葉じゃないと意味がないのです。

先程の例でも、
「今日は寒かったよー」
「今日は寒かったんですね」

だと、なんだか少し不自然です。どんな関係性だよってなります。
※もちろん、これが成り立つ関係性や聞き手の状況もあります。

それなら、
「今日は寒かったよー」
「あらー、さむかったかー」

みたいな感じだとだいぶ自然です。

ベイトソンいわく、ただの言葉なんてない

アメリカの文化人類学者ベイトソンは、コミュニケーションに関してこんなことを言っています。
私の言葉で内容を簡単に伝えるとこういうことです。

“コミュニケーションを行う際、少なくとも二種類の情報が同時に発せられる。
一つは、レポート:言葉で内容を報告する
もう一つは、コマンド:相手に対する気持ちを口調や身振りで伝える内容である。


そして、これらの情報は単独で存在することはない。”
参考:やさしいベイトソン―コミュニケーション理論を学ぼう!  野村直樹 金剛出版

例えるならば

これはどういうことなのか、有名な「志村、後ろ!」を例に解説してみましょう。

この言葉の中には、
「後ろを見ろ」というレポートと
「後ろからなにか怖いものが近づいてるから気づいて!急いで!」というコマンドがあるわけです。

つまり、コミュニケーションにおいて、言葉(レポート)だけが存在することはありえないということです。

ここについて、ベイトソンは娘とのやりとりの中で、このように言っています。

ともかく、ナンセンスだ。人が「言葉」でしゃべってる−ただ単語を並べてしゃべってる-なんて考えるのは全然ナンセンスだ。身振りと言葉、なんて分けるのが、だいたいナンセンスだ。「ただの言葉」なんてものはないんだから。公文とか文法とか、そういうのも全部ナンセンス。「ただの言葉」というものがあるという前提の上に、はじめて成り立つ概念だ-

精神の生態学(上)/Gベイトソン 思索社(p44)

いいたかったことは

少し難解な感じの話になってきてますが、平たくいってしまうと、こういうことです。

自分がいて相手がいる会話の流れの中で、自分が背景にもっている意図を隠してスキルをつかっても逆効果である。

ここが、オウム返しが機械的でいやらしさを感じさせてしまう所以なのだと私は考えます。

よほど熟練した人でもないかぎり、オウム返しの中に「こういう風にすると親近感がわくんでしょ」や「なにも考えてません」というコマンドがちらついてしまうのです。繰り返せばよいのではなく、きちんと背景の気持ちが整ってないと意味がないということです。

日常で使うオウム返しを有効にするテクニック

このサイトは、みなさんが自然に聞き上手になることを目指しますので、なるべく自然な状態でいけるような方法を考えていきます。

1,基本的に、日常会話の中で、言葉を繰り返す必要はあまりない、と心得るべし

先程の説明でもありましたが、自分の中で何も響いていない言葉は、いくら繰り返したところで不自然です。基本はそんなに使おうと思わず「ここぞというときにつかってみよー」くらいの意識のほうが、より生きてくるように思います。

2,わからないときの間つなぎ手段として使わない

「あなたの発言を受け取っています」というサインのはずのオウム返しで、わかっていないことを隠したまま繰り返されると、相手は非常に寂しい気分になります。これが、聞き返す疑問形としての繰り返しならOKなのですが、わかっていない時には、不用意に繰り返さず疑問をちゃんと伝えましょう。
※ところが、自分が「わかっていない」ということに気づくのもまた難しいことではあります。この辺は別の記事に書いてみようと思います。

3,ほんとに気になった言葉だけを繰り返す

とはいえ、ワンポイントで言うのであれば、有効な使い方ももちろんできます。コツは、重要そうなキーワードは繰り返してみることです。「さっきから聞いてると、なんかこの言葉がよくでてくるな」と思った言葉だけを言ってみましょう。

4,言い換えて返す

全く同じことを返すと不自然になるのであれば、少しだけ言い換えてみると、あなたが受け取っているという意思表示にもなります。

5,要約して返す

上のいい換えにも近いですが、話を聞いた上で、要約して返してあげるのも有効です。
「いま言ったのって、こういうことですか?」

6,とはいえ、失敗してでも繰り返し続ける

ここまで言っておいてなんですが、物事はやってみた人しか勘所がつかめません。
すべての道は一歩からなのです。

日常で自然に使うためには、まずは何回も失敗することも自然になっていくためのステップとしてはおすすめです。

まとめ

いかがでしたでしょうか?
簡単なようで、難しいオウム返し。

今回は、あえてオウム返しのミラーリング的な側面についてはあまり語りませんでした。というのも、日常の聞き上手というシーンの中で、ミラーリング自体がどこまで有効なのか私自身もつかめてないからです。たしかに、相手の動きや言葉をミラーリングすることで、無意識レベルで連帯感が生まれやすくなることについては同意するのですが、そこを意識した時点で場の空気自体が固まってしまうのも事実としてあるのかなと思うのです。その辺については、もう少し掘り下げてから記事にしてみることにします。

対話パートナーはあなたの可能性を開きます!
いままでの自分の人生を振り返りながら、あなたが納得できる未来を一緒に探してみませんか?
対話パートナーは、対話を通して、そこまでの人生や生活、今から取り組んでいくことの意味を相談者自身が見つけ、本質的な成長を遂げていくための時間を提供する成長支援サービスです。
>体験セッションに申し込んでみよう

体験セッションに申し込んでみよう

まずは、あなたのための本当に自由な時間を体験ください。