「聞き上手=コーチング、カウンセリングができる人」じゃなくてもよい理由

聞き上手というと、カウンセリングやコーチングの技術的説明が多くなってしまいがちです。ですが、日常生活の中で目指すべき「聞き上手」は優秀なコーチングスキルをもった人である必要はありません。

今日は、その辺について書いてみます。

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コーチングとは

そもそものコーチングの定義について、主要な団体からの例を記載します。

国際コーチ連盟(ICF)の定義

世界で最も大きなコーチング団体、国際コーチ連盟ではコーチングをこのように定義しています。
これは、私の礎にもなっている考え方です。

コーチングとは、思考を刺激し続ける創造的なプロセスを通して、クライアントが自身の可能性を公私において最大化させるように、コーチとクライアントのパートナー関係を築くことである
Coaching: Coaching is partnering with clients in a thought-provoking and creative process that inspires them to maximize their personal and professional potential.
http://www.icfjapan.com/whatscoaching/code-of-ethics

国際コーチング連盟(ICC)の定義

もうひとつの大きなコーチング団体、国際コーチング連盟(ICC)では下記のような定義がされています。
※名前がにてますよね…。

コーチングの本質は、人が望むように変化するのを助け、行きたいと望む方向に行くことを助けることです。コーチングは人がこうありたいと望む人になり、できる限りの最高の自分になれるようにすべてのレベルでサポートするのです。
* コーチングは気づきをもたらす。
* コーチングは決断力を高め、変化へと導く。
* コーチングは人のもつ潜在力の扉を開き、最大の業績を可能にする。
* コーチングは人を教育するのではなく、学びの習得を援助する。

http://www.lifecompasscoach.jp/category/1516544.html

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コーチングとは?動画版

動画でわかりやすいコーチングについての解説動画がありましたので、リンクを張っておきます。

コーチングとはスキルのことなのか?専門職のことなのか?

この部分について「コーチング心理学概論」には、下記のように記載があります。

「あなたにとってコーチングとは?」という問いにたいして、日本のコーチの67.2%は「スキル(技能)のセット」と回答し、専門職と考えているコーチはわずか23%に過ぎなかった。一方、世界のトータルでは68.9%のコーチが「proffession(専門職)」であると答えており、「スキルのセット」と考えているのは26.2%のみであった。(ICF,2012)

西垣悦代・堀正・原口佳典 編著 ナカニシヤ出版 2015年 (p6)

つまり、日本人はコーチングとは行為の総称のことであると考えやすく、世界的にはコーチングとは専門の技術職そのものであると考える傾向があるというわけです。

だからどうした?と思われるかもしれませんが、ここが聞き上手に関わってきます。

日常でコーチングっぽいことをするとどうなるか?

聞き上手になるためにコーチングを学ぶこと自体は、話を聴くプロになるトレーニングとしてよいことだと思います。

ですが、習ってきたからといって日常でコーチングをするとどうなるか?
経験から言うと、ほぼほぼ嫌がられます。そして日常の関係が崩れることが多いかなと思います。

これは習いたてのコーチのほとんどが痛い目をみるポイントでもあります。(私もふくめ)
「素晴らしい関係性のとり方について学んできたのだから、部下や家族や友人にコーチングをすればよいはず」と思ってしまうのですが、「その変な質問やめて」とか「普通に話してくれない?」などと言われて煙たがられてしまいます。

職場においても「上司がコーチングを習ってきて、”本当は何がしたい?”とか”あなたの中に答えがある”ってしつこく聞かれて苦しい」と言う話もよく聞きます。

やっぱりコーチングは専門職

そうなのです、コーチングというのは対話中のテクニックだけを指すのではなく、セッションという場の設計も含めた専門職なのです。コーチングという行為の中には、関係性を基準にした場の設定、セッション時間の使い方、クライアントの目標設定具合や行動、状態、契約関係などが含まれているのです。つまり、コーチ⇔クライアント関係という中で、単に技を使ったから変化があった、ではないということです。

聞き上手がめざすべきところは?

では、聞き上手が目指すべきところは、なにか?

それは「日常の中で、自然に会話が流れていくようにすること」です。

思うに「コーチングしちゃうぞ♬相手に変化をもたらすぞ♬」という意識だと少し不自然になります。それをすると形上、作用する側⇔される側という拘束が発生してしまいます。コーチ・クライアント関係は別の意味で、対等ではあるのですが技術一つだけを切り出すと、それは対等ではなく、力関係が働く関係になってしまうのです。

したがって、みなさんが目指すのは「今の関係性のままで、うまく話を聴くこと」だと言えます。如何に自然にいつも通りに、さりげなく話を聴けるようになるか。そこを目指していくべきなのです。

もちろん、コーチングやカウンセリング的な技術は使いますが目指すべく自然に!です。
その観点で今後も使える技術を紹介していきますね。

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