現代人は日中の大半を会社で過ごしています。
月〜金までフルタイム勤務だと 1日8時間、週40時間。月にすると170時間近く。
※残業があればもっと増えてきますね。
いる時間が長いと、その分、職場での悩みも深くなるわけですが、せっかくの人生ですからただただ時間を消費するよりももっと有意義に使いたいですよね。
ということで今日は、仕事で人間的な成長を遂げていくために考えられることについて書いてみたいと思います。
仕事における成長ってどんなことだろう?
まずは、仕事における成長とは、どういうことを指すのかを考えてみたいと思います。
一般的に仕事における成長は「なにかができるようになること」「継続的に仕事で成果を出せるようになること」「認められるようになること」「稼げる額が増え、出世もしくは権限の向上すること」などと言われています。
たしかに仕事をスキルとして考えたとき「成長=成果 or 技術の向上」というのはまっとうな答えだと言えます。ただここで考えてみたいのはこのような成長のことを、そのまま人間性の成長と言いきってよいのか?という点についてです。
「全く関係がない!」と言い切ってしまうとそれは嘘になるかもしれません。なぜなら、成果を上げることで自分の考えや発想、行動に対して自信はつきますし、仕事の規模が拡大していけばできることや体験することの幅も広がり、会う人もお金の使い方も変わってくることでしょう。このように技術の向上以外の観点もあることは否定できません。
ところが、それで全部でしょうか?
それらができれば、人間的に成長したと言ってよいのでしょうか?
人間性の成長ってなんだろう?
ここまでに書いた「何かができるようになる」というのは、いうなれば量の話とも言えます。知識や職務遂行能力、成果、仕事の規模がどんどん拡大していくような類の成長です。
一方、この観点では、知識やスキルを使いこなすための主体となる自分自身の器(内面の質)についてはあまり語られていません。いうまでもなく、人間というのは機械ではなく人格を持った生命体であり、その生命体同士で共存しているのが社会です。様々な人が一緒に住む社会の中で、影響しあう他者との関係や環境を踏まえながら、知識やスキルがどのように活用していくかは扱う人の器にかかっているとも言えます。
極端な例ではありますが、器の小さいままで高度な技術を扱える人がいたとしたら、大きな影響を与えられる反面、世の中に悪影響を及ぼすことも考えられるわけです。つまりは、成長とひとくくりにする際は、器の成長についても考慮する必要があるのだと私は考えます。
そのため、ここではこの器に関する成長のことを人間性の成長と捉えていきたいと思います。
先に断っておくと、スキルの成長は必要ないといっているわけではありません。もちろん両方大事なのですが、人間的な成長というからには器のほうも意識してみる必要があるよ、というお話です。
では、その肝心の器には、どんな項目があるのでしょう?
実際に考えてみると様々とありそうです。
例えば、感情面でのコントロール力(EQ)であったり、倫理面・道徳面での考え方であったり、物事の捉え方のスケールであったり、他人への包容力と言われるものであったり。共通して言えることとして量では捉えづらい質に関わる観点についてと言えます。
しかし器ってそんな自分で大きくできるものなのか?
「それはわかったけども、器ってそんなに簡単に大きくできるようになるもんなのかね?」という声も聞こえてきそうです。
先程のスキルや技術の話と比べても、どうしても抽象的な話にもなるため、どうやっていいのかわからないというのはあるかと思います。
実際、ここで述べておかなくてはいけないのは、
1,器というのは自分自身が認識できる現実のサイズであるということ。つまり自分自身が捉えている世界そのものであり、それ以上の大きさを想像するのは極めて困難である。
2,人の器というのは意図的に大きくできるものでもなく、器の拡大は自分自身の置かれている環境・状況の中で今の自分では対処できない事態に直面した際に仕方なく起こる。
ということです。
往々にして、自分自身で自分の器を意図的に向上させようなんて考えるとうまくいきませんし、そもそも自分ひとりでは、自分自身の器の範囲や広げる方法に気づいていくことは難しいわけです。周りで「私は自力で器を大きくした」なんて言ってる人がいたら胡散臭いですよね笑。
ただし、そんな中でも、自分自身や周囲に対しての気づきを重ねていきながら自分の視点や限界点に気づき、それまで見えていなかったことが見えるようになる(見え方が質的に変化する)ということは積み重ねていくことができます。つまり、今自分の身に起こっていることに対して、様々な観点から全力で集中して取り組んでいくこと自体が、結果、人生にとっての有意義なことになるのではないか?ということであり、私たちが日々できる取り組みなのだろうと思うわけです。
そして、その際に最適なお題があります。
今できること
それは仕事での悩みです。
仕事というのは、まさにあなたに降り掛かっていてかつ社会とも密接につながっている最適な機会なのです。
以下に、仕事の悩みそのものを人間的な成長につなげていくための観点を記載してみました。仕事で悩んだときに一歩深く考えてみるだけでも、一つ一つの体験を有意義にできるのではないかと思います。
※ただし悩みすぎている場合は、あまり考えないように。不健全な悩みは体調を崩してしまうのでおすすめしません。精神的に余裕のある状態で行いましょう。
1,まずはテーマを決める
あなたが取り組みたいことについてのテーマを考えてみましょう。全体にすると広くなりすぎることがあるため、考えたいテーマに絞ってみるとよいでしょう。
例:先日のA社からのクレームについて
NG例:会社全体について
2,今の状況について、あなた自身はどんな観点からどう感じ、どう捉えているのか?
仕事をしていると「理不尽だ!」と感じることや「なんで自分ばっかり」と思うことは多いと思います。もしくは逆に「100%自分が悪い」という状況もあるかもしれません。少しグロッキーになっているときは、まずは一旦気持ちをリフレッシュしてあげることも大事です。怒りや悲しさを感じつづけている自分の感情から抜け出せないと、状況について考えることは難しいですからね。
その上で、現在の状況や自分自身の視点や気持ちなどについて、じっくりと考えてみましょう。一旦「誰のせい」ということは置いて”外から見ている他人”のような気持ちで、今の状況について、あなた自身はどんな観点からどう感じ、どう捉えているのか?を整理してみましょう。
3,あなたはどんな行動をとっていたのでしょうか?
2での考え方を踏まえて、あなたがとっていた行動についても書き出してみましょう。あなた自身は、起こったことに対してどのような行動をとっていたでしょうか?
4,他人(上司、同僚)について、どう考えるか?あなたとの関係性はどうか?
職場において、欠かせないのが他人の存在です。上司や関係者は、このテーマに対してどんな感情や立場でしょうか?そして、あなたとの関係性はどうなっているのでしょうか?考えうる限りの視点を考えてみましょう。自分以外の様々な視点を意識することも大事な要素です。
4,テーマをとりまく会社の状況はどのようになっているでしょうか?
テーマに対しての、あなたを取り巻く全体の状況はどんな状態でしょうか?このテーマに対して、なにか影響していた環境面での状況がありましたか?
5,自分ができること、したいことはなんなのか?それをどうしたら実現できるか?
そもそもの願いややりたいことはなんだったのか?そこを思い出してみましょう。その上で、1〜4の状況と照らし合わせながら、気づいたことや、ここから一歩、状況をすすめるために必要なことについて考えてみます。
まとめ
今回は、仕事の悩みを人間的な成長につなげていくためにできることについて書いてみました。
非常に深いテーマなので、全体を網羅することは難しいのですが、まずは自分自身の身近な悩みを整理しながら、今の自分自身の状態に気づいていくことは大事なことだと思います。
参考になればなによりです。