いままで、学校の成績もよかったし、いわゆる優等生だった。
そのままの流れで、いわゆる有名な会社に就職して日々を過ごしてきたけれど、なんか楽しくない。周りからは「いい人だね」とか「真面目で優秀だね」と言われて悪い気持ちはしないのだけど、なんだか自分の人生を生きているような気がしない。日々の生活に気疲れしてしまっている。
そんな事ってありませんか?
世間では、親の期待に答えすぎてしまう子どもの事を「いい子症候群」と呼ぶようです。
基本的には子どものケースを指すとのことですが、実際は「いい子ちゃん」なまま、大人になった今も苦しんでいる方も大勢いらっしゃるようです。
おち対話デザイン事務所では、「いい子ちゃん」な大人を脱して、自分の人生をおくりたい!を思うあなたの心に注目してみました。
あなたが本当の人生をおくるために、できることを一緒に考えてみませんか?
人から見える表面上のメリットについて
ここで、先にいい子な大人であることのメリットをあげてみたいと思います。見ていただくとわかるように、はたから見ると結構いい言葉が並びます。
誠実でまじめ
いい子な大人の特徴として、忠実に相手の期待に応えるのが得意です。そのため、責任感をもって、誠実に指示をこなすことができます。そのため、周りの人からの信頼は厚い人が多いように思います。
進んで人につくす事ができる
自分を持っている人などが近くにいると、その人に対して敬意を払い、最大限役に立とうと頑張るのも特徴です。
粘り強く努力ができる
「いい子ちゃん」はがんばりやさんな事が多く、物事に対して、まじめに粘り強く取り組むことができます。
丁寧である
何事にも手を抜かず、丁寧にこなせる事も特徴です。
なぜつらいのか?
では、いい子であることは、なぜ辛いのでしょうか?人から見ると、あんまりデメリットがないように見えているかもしれませんが、本人は下記のような思いを抱えているケースが多いようです。この傾向が進みすぎると精神的な疾患に繋がり、悪化すればうつ病の一つの原因にすらなると言われています。
演技しているという感覚
いい子でいすぎると周りから良い反応をもらうために、常に”演技”しているような感覚にとらわれてしまいます。
相手に合わせて、自分を作っているという感覚が強く、そこに違和感を感じながら生活をしているということです。周りからはよい反応をもらえる反面で、いつも気疲れをしてしまっていて日々が苦しい。そんな事態になっていくようです。
「偽り」ではない「本当の自分」はどこかにいるという感覚
演技と関連してくるのですが、多くの人が「いい子ちゃん」になってしまう自分は偽りの自分で、本当の自分はどこかにいるという感覚になる事もあります。
今の自分は違う自分なんだ。と思うわけです。
ですが、その「本当の自分」が何かわからず、「本当の自分は価値のない人間なのかもしれない…」というネガティブな感覚に陥ります。そのため、偽りの自分を演じ続けるしかないという思考になり、生活に諦めのような感覚がでてきてしまいます。
なぜ、いい子ちゃんに育ってしまうのか?
発達心理学の観点から見ると、子ども時代の親との関わりが大きく影響しているようです。
愛着を得るため期待される役割に答えようとする
人の成長の過程で、重要なのが愛着です。
愛着とは、他者との間に親密さや繋がりを求め、そこから安心を得ようとする人の傾向のことを指します。幼児の場合、最初に愛着の対象となるのは親であり、親に対しての愛着行動をきっかけに自分自身を形成していくことになります。
幼少時代、子どもは親の感覚に合わせようとします。自分の役割に期待されていることをこなそうとするのです。その際に、親から十分な承認を受けていない場合、自分自身が合わせなければ受け入れられないという感覚になり、”自分をつくる”事を覚えます。これ自体は、非常に自然な流れなのですが、この不安が大きすぎる場合に過剰に合わせてしまう「いい子」が形成されるようです。精神分析学者のホーナイはこれを基底不安といいました。
自己の価値観に自信をもつ反抗期の不在
その後、反抗期などを通してアイデンティティの構築に向けて発達していくわけですが、「いい子」なまま大人になってしまった人の多くは、明確な反抗期をあまり経験していない人が多いようです。そのため、自分の価値観を確認するチャンスを逃してしまっている場合があります。
その結果、「他人に合わせ続ける事が安全」という自分から抜け出せなくなるパターンが発生するようです。
症候群から抜け出せないとどうなるのか?
いい子がそのまま続いて行くとどういった現象が起きてくるのか見てみます。
身体との乖離
自分自身の身体のはずなのに、人に動かされているような感覚だったり、思考と切り離された感覚に陥ります。そのため、実在としての自分という存在が乖離し始めます。また、身体は感覚や感情とも深く結びついているので、自分の感覚ではなく人の感覚に合わせていく事が良いことだという認識になり、快よりも不快に耐える傾向が強くでてしまうようです。
外界との乖離
「いい子」になりすぎてしまっている人は、外に気を配っているつもりが、実は、自分の中に引きこもっているものです。そのため、「ここは自分の居場所ではない」という感覚に常にとらわれ、常に別の場所に心を探し続けるようになります。また、自分の領域を守るための感覚は強くなり、人からの意見を自分への攻撃と捉えてしまう事が起こります。
自分との乖離
自分という感覚がなくなっていくため、自分が「したい」という感覚よりも、人が喜ぶであろう感覚をよしとしてしまいます。そのため、仕事などの会話はスムーズなのですが、日常の会話に苦しさを感じる事がでてきます。自分のしたいことがわからないので、その状態になることが苦しくなるのです。
人生との乖離
人の指示に従う事のほうが楽と感じてしまうため、気が付くと、思っても見なかった方向に流れてしまう事も多いようです。また、「信頼できる」「真面目だ」などと評価が上がってくると、逆にそれをこなしていくことのプレッシャーに苛まれてしまうようです。結果、自分の人生が重荷になってきてしまい、人生自体をあまり実体を持って感じれなくなってしまうということがおきます。
とりもどせ!本当の自分になるための10の方法
ちょっと重たい話が続きましたが、そんな「いい子」な大人から脱出するための方法について書いてみたいと思います。いきなり急変するということを期待するよりも、じっくりと取り組んでいくことをオススメいたします。
身体の感覚や愛着などを取り戻しながら、その過程で、思いにも変化が訪れることを願います。
では、いきましょう。
1:「してはいけない」事のリストをつくる
今まで自由に生きてこれていない分、「したいこと」よりも「してはいけないこと」のほうが多く積み重なっているのではないでしょうか?ここで一度、そんな自分が抱えている「してはいけない」リストを作ってみましょう。どれくらい挙げられるでしょうか?あなたが当然だと思っているほんの些細なこともふくめてみてください。
そして、それを日常の中で、意識してみましょう。
どんな時にそれを感じていて、その時、あなたはどんな行動を起こしているでしょうか?
どんな自分が特に許せないでしょうか?
2:自然のものに触れてみる
先ほど、身体の乖離と愛着の話をしました。あまり感覚が鈍りすぎていると、自分自身を感じられなくなってくるのです。そこでオススメの方法としては、どこか自然のある場所に移動して、そこにある自然に実際に手を触れてみましょう。
なんでも良いです。
芝生でも大きな木でも、花でも。
気軽なおすすめは、土に触れること、海に足だけでも浸かることです。アーシングという行為ですが、自然な感覚は、あなたの身体感覚を取り戻す一つの手段となります。
ポイントは、一つのものにちょっと長めな時間触れてみて、その触れている感触や感覚を確かめることです。
その時、自然と沸き上がってきている自分の感覚を探ってみてください。
何も感じなくても、よいのです。
ぼーっと優しく触れてみましょう。
3:共感してもらえる人をつくる
「いい子」になっている人は、人の話を聴く人のようが多い気がします。たぶん、本人としてもそのほうが楽だからでしょう。
そのため、共感してもらうということに慣れていません。
ただ、自分の思うことに共感してもらえるという経験は非常に嬉しいものですし、自分に気づく&変化していくのは、コミュニケーションの本質から言えば、一人では難しいのです。誰かとタッグを組むほうが強力に進みます。
なので、誰かに今までのことを受け止めてもらう機会をつくってみましょう。でも、何を話していいのかわからないと思いますので、そんな時は対話パートナーを活用してみてください。話を聴くプロですので、何も言いたいことがなかったとしても、あなたの良い所を引き出してくれますよ。
4:心理的に線をひける場所、頭の声を解放できる場所を用意する
いい子ちゃんをしている場合、日々人目に気にしているケースがあります。「あの人に、こう思われたらどうしよう」とか「あの人はこういうことを気にする」など勘ぐりすぎる部分がでてきます。
そうなると、対象の人がいなくても、気を抜くことすら難しくなってくるのです。基本的に、ひとりであれば、何をしていても見えないはずなのですが、意識の中にずっと他人が入ってしまう場合があります。知らないうちに、自動で他人から影響をうけてしまっているのです。
そんな誰もいないと確証がもてる空間を用意してみましょう。そういう場所を探すのが難しい場合は、以下のような心理的なおまじないも効果的です。
出かける前に、手で小さく輪を描き、「この手から内側は自分の領域」といったん唱えてみる。
だけです。
気持ちの中で、自分の絶対的な領域を確保して、自分を保つのです。
簡単ですが、けっこう効果的ですよ。
5:家族との関係をさぐる
先ほどの原因の部分でも述べましたが、あなたの家庭環境が、あなたに大きく影響している事があります。
ここで、もう一度自分自身と家族の今までの関係というのを整理してみましょう。
父母や祖父母の口癖や家の中で当然と思われていたこと、当然としてきた自分の役割などを見つめ直してみましょう。
その上で、それがいつからあなたの当然の物語になったのかを探ってみましょう。
意外な気づきがあるかもしれません。
6:「〜になったら」という期待を手放す
「いい子」を脱したいと思っている人の多くが、「〜の資格がとれたら変われるはず」とか「〜ができたら変われずはず」という願望を持っている事が多くあります。あたかもそれがないと、行動ができないし、そんな私には発言力や資格がない、という宣言のようにもとれます。
が、しかし、その何かを取得したとしても、あまり状況はかわらないばかりか「そんな自分になったのに動けない」という逆の思考を生むことが多くあります。
ここで、一度その期待を手放してみましょう。
「でも、今の私にはなにもない!」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。特殊なことやあるジャンルの頂点のような能力じゃなくてよいので、まずはスモールステップです。
なんなら、普段言わないことを一言添えてみる。でもいいのです。
大きく一度に高いものを取りに行くのではなく、少しずつのほうがよいです。
そのままのあなたで、できることはいっぱいあるのは確実なのです。
あとはそれを見つけて試して見れるかということです。
7:アウトローな自分を想像してみる
普段、「いい子」を演じている分、試しに「悪い自分」というのを想像してみましょう。普段は絶対にしないあんなことこんなことを盛大にしてしまう自分を想像してみるのです。もしくは、憧れるアウトロー的な人を思い描いてみるのもいいでしょう。そのあなたは、どんな見た目、表情、行動をしているでしょうか?そして、もしそれを現実にした場合、あなたの周りではどんな事が起こるでしょうか?
8:意識的に全力で「いい子ちゃん」な自分を演じてみる
ちょっと変な視点ですが、あえて意識して「いい子」を演じてみましょう。普段の数倍くらいの勢いで演技してみるのです。普段は知らず知らずのうちに抑えがちになっている気持ちを演技に向けた時、あなたの内面ではどんな気づきがあるでしょうか?そして、普段の自分との違いはどんなところでしょうか?
9:自己スキンシップ法を試す
これは、”「いい人に見られたい」症候群”という本の中で、紹介されている方法の一つですが、自分自身の身体の感覚を取り戻すには、非常に有効な手段だと考えられます。これを実施にしていくことで、自分で身体に触れる心地よい感覚に改めて気づきます。方法はこんな感じです。
- 静かな部屋でゆったりとした気分で横になり、3,4回深呼吸をします
- 自分の身体が水でできていると想像して、その水が自分の身体の中をゆっくりと流れていくのをイメージします
- そのイメージを手の先から足の先まで広げていきます
- 体液の流れに沿うような感じで、手のひらでゆっくりと身体をさすります。顔、首、肩、胸、お腹、太もも、右腕、左腕とまんべんなく
10:カラオケボックスに行き、力の限り叫んでみる
ストレス発散にカラオケボックスにいく方は多いと思います。カラオケボックスというのは、自由に声がだせる貴重な空間なんですね。ここでは、誰も見ていませんし、聞かれる事もないです(笑)
今から、試してもらいたいのは一人カラオケです。ちょっと抵抗があるかもしれませんが、今けっこう多いらしいので、勇気をだしていってみましょう。(私もよく行きます)
入ったら、はじめは小さい声でもよいので、なんか叫んでみましょう。(もちろん、歌ってもよいです)
外が気になる方は、なにかの曲をかけながら、マイクを使わずに叫んでみましょう。
叫んでいるうちに自分の中にある思いと暑くなっている自分に気づくと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
いい子ちゃんから脱出するというのは、簡単な事ではないかもしれません。それは、ある意味、引っ込んでしまっている自分を取り戻す行為に近いからです。
そのためには、自分自身が元から持っている思いを如何に引き出すか?ということに注目します。それは、身体の感覚であったり、周囲からの反応であったり、思い込みであったり、恐怖であったり。色々な自分と向き合う旅なのです。
自分探しという言葉がよくありますが、本当の自分は、自分の環境の中にこそいるのです。
私はそう思います。
一人でも多くの人が、充実した人生を送れることを願っております。
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