認知発達を包括的に捉えた発達心理学の巨人ジャン・ピアジェが、物事の認識の枠組みとして発見した概念。この枠組を環境と相互作用のなかで、同化・調節・均衡化しながら、拡大していくことが、認知的な発達であると考えた。
【例】
ある子どもが「4本足で歩く、人よりも小型の生き物は犬である」という”シェマ”を持っているとする。その時、ダックスフンドを見たとしても、シェマに一致するので「ダックスフンドも犬である」と認識される。これが、同化。
ところが、狐を見たときに、かなり似ているので、「狐も犬だ」と認識するかもしれない。しかし、その生物学的な特徴の違いがわかると、「4本足で歩く、人よりも小型の生き物は犬である」のシェマには矛盾が生じ、対応できなくなる。
そこで、先程のシェマを「4本足で歩く、人よりも小型の生き物は犬だけでなく、狐もいる」というように変化させることをする。これが調節。
このように、既存のシェマでは対応できない時、「認知的葛藤」により不快になるため、調節によって新たなシェアを生み出し、認知的なバランスをとることを均衡化という。
参考:絶対役立つ教育心理学 著者藤田 哲也 2013年 ミネルヴァ書房 p120-p121