文化人類学者のグレゴリー・ベイトソンによって発見されつくられた造語。親しい間柄において、メッセージとその上位概念であるメタメッセージが矛盾することで引き起こされるコミュニケーションでの苦境のこと。
今では否定的な意見もでているが、発表当時は統合失調症の原因と考えられた。
2つの同時に発せられたAとBという命令が、どちらもお互いに矛盾している状況で起こりやすい。両方を同時に満たす解答はなく、Aに応じても罰せられ、Bに応答しても罰せられ、応答しなくても罰せられ、さらにそこから立ち去ることも許されず苦しむこと。
Aが言語的な命令、Bが非言語的な指示(メタメッセージ)であることが多いが、その矛盾を指摘することも難しい状況。
実例
ワンマンで高圧的な上司が、会議中に「なんでも自由に意見を言ってくれ」と言った。ところが過去の経験上からも口調からも、本当に感じていることを言うと怒られることは容易に想像がつく。とはいえ黙っていたり、無難な意見を言っても怒られるだろう。そして、その点を指摘するなんてもってのほかだ…。うえっ…、なんとかしなければ…。か、帰りたい…(でも帰れない)
上司からのメッセージ内容
上司が発言した時点で相手に届いているメッセージは下記の二種類。これが同時に届いている。
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A:なんでも言ってね。(表面上聞こえる言葉上のメッセージ)
B:自由すぎると怒るよ。(発言の中にメタ的に存在してるメッセージ:態度や口調にあらわれている)
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AとBは同時に伝わるものの意味の方向は逆向きになり、意味的矛盾が起こる。
言葉から伝わる情報には、必ず階層があるということを抑えておく必要がある。