20世紀初頭のアメリカ思潮の主流となった哲学。チャールズ・パース氏からはじまり、広めた人としてウィリアム・ジェームズらがいる。社会学、教育学、流通経済学など多くの学問に多大な影響を与えたが、それにとどまらず、アメリカ市民社会の中に流布して通俗化され、ビジネスや政治、社会についての見方として広く一般化してきた。心理学においては、行動主義などにつながっていく大きな流れをつくった。
ジョン・ロックの経験論を下地にさらに発展させ、「知識が真理かどうかは、生活上の実践に利益があるかないかで決定される」という考え方をとる。実利主義、実用主義とも言われる。
「とにかく考えるより行動せよ」のようなニュアンスで使われることが多く、そして、それは間違いではないが、ウィリアムズ・ジェームズの本から見えてくる、その背景の厚みを無視すると単なる行動賛美にしか思えないようにも感じてしまう点に注意。
プラグマティズムな方法は元来、これなくしてはいつ果てるともしれないであろう形而上学上の論争を解決する一つの方法なのである。世界は、一であるか多であるか?—-宿命的なものであるか自由なものであるか?—-物質的か精神的か?—-これらはどちらも世界に当てはまるかもしれぬしまた当てはまらぬかもしれぬ観念であって、かかる観念に関する論争は果てることがない。プラグマティックな方法とは、このような場合に当たって、各観念それぞれのもたらす実際的な結果をたどりつめてみることによって各観念を解釈しようと試みるものである。
(中略)
哲学上のさまざまな論争も、これを具体的な結果を辿るというこのいとも簡単なテストにかけてみるや否や、いかに多くのものがたちどころに意味のないものになり終わるか、それはじつに驚くべきものである。他のどこかに差異を作らないような差異なるものは、じつはどこにも存しないのである。プラグマティズム W.ジェームズ著 岩波書店 p38-p42
そこで、これまで述べたところから考えてみると、プラグマティックな方法なるものは、なんら特殊な結果なのではなく、定位の態度であるに過ぎない。すなわち、最初のもの、原理、「範疇」、仮想的必然性から顔をそむけて、最後のもの、結実、帰結、事実に向かおうとする態度なのである。
プラグマティズム W.ジェームズ著 岩波書店 p46
果てしなく続いてしまう二元論的な争いを打破するための進展させた(弁証法的にうみだされた)考え方であり、結果をもって純粋な人間性を高めるべく提案された考え方のように思われる。ジェームズの人間性の追求に関しては、もう少し読み進める必要があると感じているので、今時点はここまで。